キレてます(人事コンサルの日常など)

経営コンサルタント各務晶久が日々の雑感、ノウハウなんかを綴ります

月刊人事マネジメント寄稿記事)実例!人事のコンフリクトマネジメント6 女性総合職 vs 男性上司 (1/2)

 

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月刊人事マネジメント2019年5月号に私が寄稿した記事の転載許可が下りたので、分割して紹介することにしたい。

 

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  実例!人事のコンフリクトマネジメント

  ~「価値観の対立」を越えて職場のダイバーシティを進めよう~

 事例6 女性総合職 vs 男性上司 

 結婚,出産,育児,子供の進学,親の介護など,公私の「私」における役割は年齢とともに変化する。日本社会では,まだまだ環境整備が追いついていないこともあって,女性のほうが男性より,「私」の役割変化が「公」に影響を与えやすい状況にあるといえよう。
 今回の事例は,ライフステージの変化によって,個人の優先事項 の変化が深い部分で共有できずにコンフリクトを起こした事例を紹介する(人物名,企業名は仮称)。       

問題シーン      宿泊の出張はできません!  

 浜田幸子さん(35歳)は,大手部品メーカー,ワールド工業㈱で採用業務に従事している。彼女は 5 年前に結婚し, 2 歳の子供が1 人いる。

 ワールド工業では,結婚や出産といったライフイベントで,これまで通りの働き方ができなくなる社員を継続活用するため,本人が希望すれば総合職から一般職へ転換できる制度を設けている。

 一般職は責任範囲の限られた定型業務に従事する。一方の総合職はノンルーティンや高度な業務を担い,成果責任も強く求められる。当然,総合職と一般職には大きな処遇格差がある。

 浜田さんは職場復帰に際し,面接を受け,これまで通り働きたいとの意向を示して,総合職のまま職場復帰している。

 直属の上司である松本課長は,浜田さんを激務である大卒ホワイトカラーの採用業務に戻すのではなく,比較的負荷の低い現業職採用を担当させることにした。浜田 さんは配慮に感謝し,担当を引き受けた。

 現業職の採用では,全国の工業高校の進路指導主事に求人票を持参して会社の説明をして回るのがメインの仕事である。

 ある日,浜田さんは,工業高校回りの日程表を作成し,課長に提出した。これまで宿泊出張で対応していた遠隔地まで,すべて日帰り出張の予定に変更されていた。

 松本課長は「遠隔地の場合,日帰りだと前後の移動時間のせいで1 日の訪問件数が限られる。これまで1泊2日で対応できたものが,日帰りだと 3 回以上の出張が必要になることもある。交通費予算がオーバーするので,これまで通りのやり方で対応してほしい」と伝えた。

 浜田さんは,「分割すれば宿泊の必要はないはずです。うちには小さな子供がいるのはご存知だと思うのですが…」と顔をしかめながら松本課長に食い下がった。

 松本課長は「職場復帰に際して総合職を選択し,今まで通り頑張ると言ったのは君じゃないか」と語気を強め,取りつく島なしという態度を示した。

 それ以降,当人たちだけでなく,職場の女性同士もどことなくギクシャクしてしまった。

              

浜田さんの視点      ダイバーシティとは名ばかり  

 うちの会社はダイバーシティ,特に女性の活用を推進している。

 結婚や出産といったライフイベントごとに,最優先する事柄は人それぞれ大きく変化するはずだ。

 自分の場合,独身時代や子供がいないうちは,会社最優先でやってきたし,キャリアも積み上げてきた。

 しかし,どうしても今は子育てが最優先だ。それは課長も理解しているはずだ。

 それなのにたかが数万円の出張旅費のことで,子供を持つ社員に無理を強いるのはどうかと思う。

 また,会社を常に最優先するか積み上げたキャリアをすべて捨ててルーティンワークに従事するか,極端な二者択一を迫るのは納得できない。プライベートを犠牲にし,滅私奉公する人だけを厚遇するような会社がダイバーシティを推進できるわけがない。

 

もう一方の松本課長の視点はどのようなものだったのか?

このようなコンフリクトを防止するためにどのように人事が関与すべきだろうか?

詳しくは次回!

 

次回・・・実例6 女性総合職 vs 男性上司(2/2)

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