月刊人事マネジメント寄稿記事)実例!人事のコンフリクトマネジメント4 営業トップ VS 経営層 (1/2)
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月刊人事マネジメント2019年3月号に私が寄稿した記事の転載許可が下りたので、分割して紹介することにしたい。
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実例!人事のコンフリクトマネジメント
~「価値観の対立」を越えて職場のダイバーシティを進めよう~
事例4 営業トップ VS 経営層
プレーヤー時代の業績が高く評価されて管理職に昇進した人が,その後,急に周囲と軋轢を起こして評判を落とす…皆さんの周りにもこういう人はいるのではないだろうか?
今回は,抜群の営業成績を誇っていた社員をマネージャーに昇進させた途端,周囲が期待する役割と本人の思いにズレが生まれ,コンフリクトを起こした事例を紹介する(人物名,企業名は仮称)。
問題シーン トップ営業マンの登用
剛田厚さん(38歳)は,㈱ヒューマンカンパニーで人材派遣の営業に従事していた。離職率が比較的高い業界であり,剛田さんの同期もすでに大半が転職していた。そんななか,彼は顧客からの高い信頼を得て,常にトップクラスの営業成績をキープしていた。
フラット型組織を標榜する同社では, 1 人の営業マネージャーに多くの営業担当者をぶら下げる文鎮型の組織形態をとってきた。
しかし,社員の増加とともに現マネージャーの管理限界を超えたため,トップ営業マンの剛田さんを新たにマネージャーに任命し,営業部隊の半分をまとめるようミッションを与えたのである。
剛田さんは,重責を感じながらも張り切っていた。部下の相談や悩みをよく聞くよう心掛けていたし,チームの雰囲気がよくなるよう心を配っていたつもりである。
マネージャーに就任して 3 ヵ月が経過した頃,剛田さんは突然,経営会議への出席を求められた。会議では,彼が預かるチームの業績が急激に落ち込んでいることを経営陣から責められ,改善計画書の提出を命じられた。
2 週間後,再び経営会議に出席した剛田さんは,提出した改善計画書の内容に具体性がないと厳しい叱責を受けた。
会議中は黙って聞いていた剛田さんだったが,会議終了後に営業担当役員に「一生懸命頭をひねって考えた対策で,これ以上は自分には無理です。マネージャーを降ろしてください」と涙ながらに訴えた。
剛田さんの視点 感情に寄り添うことが大事
うちの営業は,仕事の特性上,どうしても 1匹狼になってしまう。業績が上がらなければ 1 人で悩みを抱え込み,解決できなければ最後には辞めてしまう。
これまでは,ある程度多めに採用し,生き残る奴だけを残すという会社方針だったが,採用難の時代にそんなやり方は通用しない。
チーム内で情報共有がされず,他人の手柄をうらやんだり,足を引っ張ったりする雰囲気がある。
自分は,若い頃からこのような職場風土を何とか変えたかった。だから,まずは部下 1 人ひとりの悩みをしっかり聞くことにした。
デスクにふんぞり返っていても,部下は素直に言うことを聞いてはくれないので,自分も率先して営業の第一線に立ち続けている。
営業は真面目に,かつ熱心にやっていれば成果は後からついてくるものだ。
事を急いでも業績はよくならないと思うが,経営陣に理解してもらえなかった。これではいつまで経っても会社はよくならない。
もう一方の経営陣の視点はどのようなものだったのか?
このようなコンフリクトを防止するためにどのように人事が関与すべきだろうか?
詳しくは次回!
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