キレてます(人事コンサルの日常など)

経営コンサルタント各務晶久が日々の雑感、ノウハウなんかを綴ります

卒論紹介:化粧と接客: 心理的影響と成果

 

今回は私のゼミ生の卒論紹介である。

今回紹介するのは、
化粧による心理的な変化が、接客の成果にどのようにつながるのかを扱った卒業論文である。

彼女の問題意識は、接客の現場で多くの人が感じている感覚から始まっている。

接客の仕事には、調子の良い日と、なぜかうまくいかない日がある。
同じ仕事をしているにもかかわらず、その日の気分や心理状態によって、接客のしやすさや顧客の反応は大きく変わる。

彼女が着目したのは、
「今日はメイクがうまくいった」と感じる日と、「なんとなくしっくりこない」と感じる日があるという感覚である。
こうした日ごとの違いが、気分や自信に影響し、接客態度や成果にもつながっているのではないかと考えた。

先行研究では、「化粧と気分の関係性」に関するもの、「気分とパフォーマンスの関係性」に関するものは見つけることができたが、化粧→気分→態度→パフォーマンスの連鎖モデルを取り扱うものは見つけられなかった。

 

そこで、この研究では、
化粧の出来栄えが気分に影響し、その気分が接客態度に表れ、顧客の反応を通じて成果につながるという連鎖的なプロセスをモデル化し、関連を明らかにしようとした。

接客業に従事する人を対象にアンケート調査を行い、有効回答114名のデータを収集した。
学生が一人でこれだけのサンプルを集めるのは容易ではなく、データ収集に粘り強く取り組んだ点は高く評価できる。

分析には、SEM(構造方程式モデリング)を用いている。
SEMは、複数の要因がどのような順序で影響し合っているのかを、全体構造として検証できる手法であり、本研究のテーマとよく適合している。

分析の結果、
化粧の出来栄え、気分、接客態度、顧客反応、成果のあいだには一貫した関連が確認された。

この研究が示しているのは、
接客の質はマニュアルや表情指導だけで決まるものではなく、
働く人の気分や心理状態が、その前提として重要であるという点である。