月刊人事マネジメント寄稿記事)実例!人事のコンフリクトマネジメント1 オーナー社長 VS 大企業OB(1/2)
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月刊人事マネジメント2018年12月号に私が寄稿した記事の転載許可が下りたので、分割して紹介することにしたい。
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実例!人事のコンフリクトマネジメント
~「価値観の対立」を越えて職場のダイバーシティを進めよう~
事例1 オーナー社長 VS 大企業OB
わが国はかつてない人口減少局面に突入しており,これまで活用してこなかった多様な人材に向き合う(ダイバーシティ推進)必要性が高まっている。しかし,日本の企業組織は「均質集団」をつくり上げることに注力してきたといってよく,多様な価値観を同居させることには不慣れである。
ダイバーシティを進めるほど,企業内では価値観が対立(=コンフリクト)する局面が増える。この解消は,人口減少時代の人事における主要課題の 1 つになるだろう。
この連載では,そうしたコンフリクトの実例を取り上げ,双方の視点から,何を考え,なぜ意見が対立したのかを明らかにし,その中で人事部門が果たすべき役割を考察していく。
第 1 回は,オーナー社長と大企業OBが対立した実例である(人物名・社名は仮称)。
問題シーン 面談で口論に
大手広告代理店OBの武田氏(62歳)は,従業員数15名の犬山商事に入社した。武田氏は経験を買われ,新規事業の宣伝と営業を任された。
武田氏は 3 ヵ月間の契約期間中の働きぶりで正規雇用への切り替えが判断される。武田氏と社長(47歳)は契約更新のために面談を行った。
最近の取り組み状況を報告した武田氏は,社長から「この 2 ヵ月の売上は残念ながらゼロですが,今後,ご自身の人件費を賄うだけの売上を立てる自信はありますか?」と質問され,激昂した。
「何が人件費だ。売上以外の成果をこれだけ説明しているじゃないか。金にしか興味がないのか?」と武田氏が悪態をついたため,口論になった。
その晩,我に返った武田氏は翌朝すぐに社長に詫びたが,関係を修復できなかった。社長は,「今月分の給与は満額払うので,明日から出社不要」と武田氏に言い渡した。
武田氏の視点 プロセスは正しいのに
採用面接では確かに営業もすると言ったが,メインは宣伝担当なので,売上目標は目安程度のはずだ。
前職のツテで新聞広告を格安で数回載せた。これだけで100万円以上のコストダウンだ。商品パンフも粗末だったので,印刷業者に格安で引き受けさせた。これは50万円以上のコストダウンだ。社長はこれらの実績を無視し,売上しか見ない。何を言われても大丈夫なように,きちんと脇を固めていたのに,理屈も何もあったものではない。
もう一方の社長の視点はどのようなものだったのか?
このようなコンフリクトを防止するためにどのように人事が関与すべきだろうか?
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