中小企業診断士か国内MBAか(3)コンサルの実務で役立つのは?
前々回、前回と中小企業診断士と国内MBAの比較をお届してきた。今回は、どちらがコンサル実務で役立つかを考えてみたい。
私の場合、国内MBA取得中(通学中)に、大手のコンサルティング・ファームに入社した。
そこでは、力量に応じてどんなテーマで仕事を受注してもよいのだが、当然、初めは専門分野(人事分野)で勝負することになる。
しかし、人事分野でコンサルティングを行うにも、経営に関する網羅的知識が必要で、MBAで学んだものだけでは到底足りない。一から勉強しなおさないと、クライアントの前ではボロが出ないか心配だった。
効率的、かつ体系的に知識をインプットできるのが中小企業診断士の資格取得だったので、MBAを取った翌年、さらなる自己研鑽の意味で診断士の資格を取得した。
コンサルティングは抽象概念を扱うため、中小企業診断士の取得だけでは不十分だ。しかし、MBAでインプットする知識だけではコンサルティングの実務には耐えない。
なかなか、両方の長所を兼ね備えたカリキュラムは見つけられない。
そこで、私のおススメは両方を取得することだ。
コンサルタントは企業ドクターに例えられる。多くの人の命運を左右するかもしれない企業ドクターなら、二つとも嗜み(たしなみ)で取得するくらいでちょうどいいのではないだろうか。
実際、コンサルティング・ファームで両方取得している人が多い。彼らは、常軌を逸するようなハードな仕事をしながら、片手間で勉強しているのだ。
忙しさや費用を言い訳にする人が多いが、知識商売の先端でプロフェッショナルとして活躍するなら、これぐらいのことで尻込みしない方が良い。
国内MBAは退職して通わなければならないフルタイム型よりも、働きながら通えるパートタイム型が人気だ。実際に通ってみると、夜間の授業を終えてから仕事に戻る猛者も少なくない。
社会人になってから他業界のビジネスマンと意見交換できるのは貴重な機会だし、大いに刺激を受ける。
何よりも忙しい合間に時間を作って勉強に励むので、自分自身のキャパシティーが上がるのを実感する。大学院を修了してからしばらくは、時間が余って仕方がなかった。通学する前と同じ状況に戻っただけなのに、前はなぜあんなに忙しかったのか疑問に思うほどだ。
その余裕を生かして中小企業診断士の勉強を始めたが、意外にも面白かった。
特に二次試験が面白い。というかよく出来ている。
コンサルティングとは程遠い、国語の試験のような内容なのだが、すぐ合格する人と、何度受けても通らない人に分かれる。基本的な読解力、論理構成能力、基礎学力がないと手こずるようだ。
「コンサルティングとは程遠い」なんていうと、試験オタクから異論続出かもしれない。でも、実際はこんな少ない情報で課題解決策は立てない。せいぜい仮説の前段階(アタリをつける程度)までの作業だ。
与件のなかで、時間内にベストな判断をしていくのは、ゲーム感覚で面白い。
私は2カ月しか勉強しなかったので、本来もっと奥深いものかもしれない。
この資格試験のお勉強は、実はコンサルよりも経営者にこそおススメだ。
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