キレてます(人事コンサルの日常など)

経営コンサルタント各務晶久が日々の雑感、ノウハウなんかを綴ります

月刊人事マネジメント寄稿記事)実例!人事のコンフリクトマネジメント2 ゆとり社員 VS バブル上司(1/2)

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月刊人事マネジメント2019年1月号に私が寄稿した記事の転載許可が下りたので、分割して紹介することにしたい。

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  実例!人事のコンフリクトマネジメント

  ~「価値観の対立」を越えて職場のダイバーシティを進めよう~

 事例2 ゆとり社員 VS バブル上司 

 世代間ギャップはいつの時代にもみられる職場での悩ましい問題の一つである。なかでも,ゆとり教育を受け,デフレ基調の中で育った20代と高度成長期に生まれ,バブル期に入社したアラフィフ世代の価値観には大きな隔たりがあり,摩擦を生じやすい。

 今回は,世代間ギャップが生んだコンフリクト事例を紹介する。(人物名・企業名は仮称)。

              

問題シーン       突然泣き出す部下  

 吉田晴香さん (26歳)は, 2 年前に株式会社サクセスに入社した。彼女は大学卒業後すぐには就職せず, 2 年間法科大学院に通っていた。しかし,司法試験に挫折し, 3ヵ月間だけ他社で派遣就労を経験したあと同社に入社した。ほとんど職務経験がない吉田さんを採用し,何とか戦力になるまで育てたのが総務課の近藤課長(51歳)だ。

 ある日,吉田さんは毎年恒例の社内行事の実施要領を作成し,近藤課長の決裁を取りに行った。近藤課長は一通り書類に目を通し,「雨が降った時の対応はどうするつもり?」「去年は誰が乾杯の音頭をとった?」と細かな質問を繰り返した。

 吉田さんは近藤課長の質問にほとんど答えられず,下を向き,黙ってメモを取っている。

それを見て近藤課長は,大きなため息を吐き,ますます厳しい口調で細かな点を詰めていった。突然,吉田さんは目に涙を浮かべ,小走りでトイレに駆け込んだ。

吉田さんの視点 上司は部下を助けてくれるもの

 よく同世代がSNSで「優秀な人はレスポンスが早い」と言っているのを目にする。確かにその通りだと思うので,受けた仕事は極力早めに仕上げている。

 せっかく手早く仕上げて提出しても,課長はそれを全く評価してくれない。そればかりか,細かな点ばかり指摘してくる。

 上司は部下より経験が長く,知恵もある。だから,不備を指摘して叱るのではなく,不備を補強して完成に持っていくのが上司の役目ではないのか。

 課長にいくら事務改善を提案しても,「この点はどうだ?」とか「検討が甘い」と言って潰される。だから結局誰も何も言わなくなる。こんな環境では決してクリエイティブな発想など生まれない。

 課長の指摘に回答できないと,課長はどんどん不機嫌になる。課長は私を責めるが,私が質問に答えられないのは,そもそも課長の教え方に問題があるはずだ。部下の育成責任を自覚していないうえに,部下に当たりちらすなんて論外だ。

 パワハラといってもいいと思う。最近は課長の顔を見ると気分の落ち込みがひどい。心療内科を受診しようかと考えている。

 

もう一方の近藤課長の視点はどのようなものだったのか?

このようなコンフリクトを防止するためにどのように人事が関与すべきだろうか?

詳しくは次回!

 

次回・・・実例2 ゆとり社員 VS バブル上司(2/2)

 

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月刊人事マネジメント寄稿記事)実例!人事のコンフリクトマネジメント1 オーナー社長 VS 大企業OB(2/2)

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前回の続き(実例1 オーナー社長 VS 大企業OB の2回目)

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社長の視点 成果が絶対条件

 採用面接で「宣伝だけでなく,営業もできるので年齢は高いがぜひ使ってほしい」と武田氏が意欲を見せたので採用した。

「 1 から始める新規事業なので,私個人の預金を切り崩してあなたの給与を支払うことになる。売上が立たないとあなたの給料はすぐに払えなくなる。 3 ヵ月後に最低50万円の売上を上げる自信があるなら採用する」と契約前に具体的に説明していた。

 広告であれ営業であれ,方法は任せるので,自分の人件費を稼ぎ出すことが条件だったし,結果はシビアに求める約束だった。ほとんど社内にいないし,直行直帰も多い。経過報告もないが,大企業で部長まで務めた人なので,細かいことを言うよりも成果を示してもらうことにした。

 広告を出したいというので認めたが反響はゼロだった。反省どころか,「相場より大幅にコストダウン」したとアピールされる始末だ。今のパンフレットが粗末だというので更新を認めた。

 本来は不要な経費なのだが,これもコストダウン実績だと言う。くだらないアリバイをいくら並べたところで,彼の給料がどこからか湧いてくるわけではない。なぜこんな簡単なことが理解できないのだろう。

対立点の抽出 シビアさに温度差

 大企業では,武田氏 1 人くらいの人件費は何とでもなるが,零細企業ではそうはいかない。このことを武田氏は肌感覚で理解しておらず,売上よりも,取り組み方法や売上以外の貢献といった「身を守るための理屈」の準備から着手していた。大企業勤めで身についた処世術だ。

 武田氏は放任され,成果だけを求められる働き方に自らの考え方をアジャストできなかった。言い訳は通じず,売上のみに焦点が当たったので,社長を「売上至上主義」だと断じたのだ。 一方,社長は財務的な余裕がないため,ピンポイントで売上貢献を求めていた。武田氏に裁量を与え,やり方を完全に任せていたので,成果でしか判断しようがないともいえる。入社前に「成果をシビアに求める」と説明し, 3 ヵ月で契約更新を判断する約束なので,武田氏が必死で売上を追うものだと社長は信じ込んでいた。

 どの企業でも「成果をシビアに求める」というフレーズはよく使うが,「シビアさ」にはかなりの温度差がある。 1 つの言葉に双方が異なるイメージを抱き,不幸を生んだのだ。

人事部門の役割 双方のクッション役に

 本件は,人事部門などの第三者が,もっと早い段階で 2 人から意見を聞き取っていれば,対立は回避できたはずだ。

 外部人材は,組織に馴染むまでに大小のコンフリクトを起こすことを前提とした人事マネジメントが必要だ。

 入社後あまり期間を空けずに,人事部門が本人と上司の双方にヒアリングし,クッション役となるのだ。「上司にそれを言ったら終わり」という局面をつくらせないことは,ダイバーシティ推進に向け人事部門が果たすべき重要な役割といえる。

 ポイントは本人だけでなく,上司にもヒアリングすることだ。このような「コンフリクト・カウンセリング」が近くキャリア・カウンセリングや産業カウンセリングより脚光を浴びるようになるだろう。

 この問題の根本には, 1 から10まで言わなくても武田氏とは相互に理解し合えるという社長の思い込みがある。労働契約書には職務内容として「宣伝・営業」と明示されており,社長は入社時に売上目標を記載した簡単な書面を渡していた。にもかかわらず武田氏はあくまで自分は宣伝担当で,売上目標は 1 つの目安だと主張していた。

 人は選択的に情報を受け取り,自分の都合のいいように解釈しがちだ。個人差は大きいが,一般論として,高年齢者ほどその傾向は強くなる。企業OBを受け入れる場合,定年まで慣れ親しんだ組織や仕事に寄せて物事を理解しようとしたり,一旦思い込むと修正が容易でなかったりする点には注意が必要だ。

 用語 1 つとっても,会社が違えば意味は異なり,誤解を生むもとになる。従って,書面では舌足らずな単語や短文ではなく,冗長に思えるくらい丁寧に職務内容や期待成果を詳述するほうがよい。人材多様化時代には,暗黙の了解を前提としない人事管理が必要なのだ。

 

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月刊人事マネジメント寄稿記事)実例!人事のコンフリクトマネジメント1 オーナー社長 VS 大企業OB(1/2)

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  実例!人事のコンフリクトマネジメント

  ~「価値観の対立」を越えて職場のダイバーシティを進めよう~

 事例1 オーナー社長 VS 大企業OB 

 わが国はかつてない人口減少局面に突入しており,これまで活用してこなかった多様な人材に向き合う(ダイバーシティ推進)必要性が高まっている。しかし,日本の企業組織は「均質集団」をつくり上げることに注力してきたといってよく,多様な価値観を同居させることには不慣れである。

 ダイバーシティを進めるほど,企業内では価値観が対立(=コンフリクト)する局面が増える。この解消は,人口減少時代の人事における主要課題の 1 つになるだろう。

 この連載では,そうしたコンフリクトの実例を取り上げ,双方の視点から,何を考え,なぜ意見が対立したのかを明らかにし,その中で人事部門が果たすべき役割を考察していく。

 第 1 回は,オーナー社長と大企業OBが対立した実例である(人物名・社名は仮称)。

              

問題シーン       面談で口論に  

 大手広告代理店OBの武田氏(62歳)は,従業員数15名の犬山商事に入社した。武田氏は経験を買われ,新規事業の宣伝と営業を任された。

 武田氏は 3 ヵ月間の契約期間中の働きぶりで正規雇用への切り替えが判断される。武田氏と社長(47歳)は契約更新のために面談を行った。

 最近の取り組み状況を報告した武田氏は,社長から「この 2 ヵ月の売上は残念ながらゼロですが,今後,ご自身の人件費を賄うだけの売上を立てる自信はありますか?」と質問され,激昂した。

「何が人件費だ。売上以外の成果をこれだけ説明しているじゃないか。金にしか興味がないのか?」と武田氏が悪態をついたため,口論になった。

 その晩,我に返った武田氏は翌朝すぐに社長に詫びたが,関係を修復できなかった。社長は,「今月分の給与は満額払うので,明日から出社不要」と武田氏に言い渡した。

武田氏の視点 プロセスは正しいのに

 採用面接では確かに営業もすると言ったが,メインは宣伝担当なので,売上目標は目安程度のはずだ。

 前職のツテで新聞広告を格安で数回載せた。これだけで100万円以上のコストダウンだ。商品パンフも粗末だったので,印刷業者に格安で引き受けさせた。これは50万円以上のコストダウンだ。社長はこれらの実績を無視し,売上しか見ない。何を言われても大丈夫なように,きちんと脇を固めていたのに,理屈も何もあったものではない。

 

もう一方の社長の視点はどのようなものだったのか?

このようなコンフリクトを防止するためにどのように人事が関与すべきだろうか?

詳しくは次回!

 

次回・・・実例1 オーナー社長 VS 大企業OB(2/2)

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仕事の守破離

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新卒で入社した会社で、初めての上司に「仕事は『守破離』だ」と教えてもらった。

その後、何人も同じことを言う人がいたので、すっかり常識だと思っていた。

 

最近、研修なんかで受講生に「『守破離』って知ってますか?」と問いかけても、若いビジネスパーソンはたいてい知らない。

 

この「守破離」、元々は茶道や武道なんかの師弟関係を述べたことのようだ。

それをビジネスに持ち込み、仕事の心構えを説くのに用いている(ここでは、ビジネスの話だけにする)。

 

まず、前任者のやり方を「守」って、そのまま覚える。完全にできるようになるまで、前任者の作った「型」をきっちり身に付ける。

 

それがきっちり出来るようになれば、「型」を「破」って、自分なりのやり方で改善・工夫してみる。自分の「色(=個性)」を見せるステージだ。

 

そして最後を下位者に任せて、その仕事から「離」れていく。自分はより難しい仕事にチャレンジするのだ。

 

さて、この「守破離」、人事の等級制度と似ている。

下級、中級、上級と一般社員を3等級程度に分ける場合、下級はルーチンワークをやれる人、中級は改善できる人、上級は下級者を指導できる人、という要件が等級定義に盛り込まれていることが多い。

 

「いくらまじめに仕事をしても給与が上がらない」という人は、今の仕事のやり方に疑問を持たず、改善工夫しないまま、ルーチンワークだけに熱心だからかもしれない(守破離の「破」が出来ていない)。

 

改善や工夫ができても、「自分がやった方が早い」と仕事を下級者に任せないなら、そこで行き詰まってしまう(守破離の「離」が出来ていない)。

 

こう考えると、自分がどのステージにいるか、会社からどう評価されているか、よくわかるはずだ。

 

ちなみに、よくスケールの大きな人のことを「型破り」というが、これは、型を身に付けた人がそれを破るからで、型を身に付けていない人は、「形無し」とばかにされる。

 

新入社員時代の私は、無駄が大嫌いで、生意気にも前任者のやり方を否定し、いきなり改善しようとした。

上司に「四の五の言わず、まずは今のやり方をマスターしろ!」と「守破離」を引き合いに出されて説教されたのだ。

 

さしずめ、上司から「形無し」と評価されたのだろう。

 

 

副業の是非②(もっと大胆に)

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前回は自分本位の「良いとこ取り」の副業は続かないという話だった。

 

では、いったいどうすればいいのか?というのが今回のお題だ。

 

私は、副業を解禁するなら中途半端なことはせず、もっと大胆に推進すべきだと考えている。会社の中で、就業時間中に副業をどんどんやらせるくらいがちょうど良い。

 

ただし、これまでの雇用形態やワークルールを前提にすれば無理があるし、すぐに破たんする。

 

副業をどんどん認めて、「強い個人」を育成する社会を目指すなら、雇用契約をいったん終了し、社員ではなく、個人事業主にとして会社と契約を結びなおすような仕組みが必要だ。法人を起こしてもらってもいい。

 

会社はメインクライアント、副業先は少額のサブクライアント、受託金額が違うだけで、どちらもクライアントとして同列だ。場合によっては、受託割合が逆転するかもしれないが、それは会社の看板を外してもやっていける「強い個人」が育っている証拠で、社会として望むべき姿ではないだろうか。

 

会社から受託した業務を個人事業主として責任をもってこなす。そこには「受託作業を完遂する」「求められた成果をきちんと上げる」という、プロとしての自覚が芽生えるはずだ。そうなると、就業場所や就業時間の概念そのものが消え失せる。

 

会社も出入りする個人事業主に執務場所を提供し、好きに使わせる度量を持てばよい。よその仕事にかまけて、自社の委託した仕事の出来栄えが悪ければ、契約更新しないか、社員に戻して副業を認めないか選択を迫ればよいだけだ。

 

個人も好き勝手にやるのだから、このくらいのリスクは背負うべきだ。そもそもメインクライアントである今の会社に迷惑をかけない自信があるから副業をするはずだ。社員の身分を外すことに自信がないなら、初めから会社か、もしくは副業先を軽んじている証拠だ。そうなら副業なんてやるべきではない。

 

ポイントは、個人事業主としてチャレンジし、失敗しても社員に柔軟に戻せる仕組みを設けることだ。たったそれだけで、起業家精神に富んだ組織文化を醸成できるだろう。

 

 

 

 

 

副業の是非①(人事の視点)

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「副業大解禁時代」なんて言葉を見かけるようになった。


私は条件付きで副業に賛成する立場をとっている。でも、あくまで「条件付き」でだ。

わが国が人口減少局面に突入しており、絶対的に労働力人口が不足している。個々人の余力は自社以外の生産活動にも積極的に活用しないと、経済規模は縮小の一途をたどる。


その意味で副業には賛成だ。

 

だが、いわゆる「正社員」が、これまでのワークルールや身分を維持したまま、副業を行うことには賛成できない。

「賛成できない」以前に、そもそも上手くいかないと思っている。

 

その理由を考えてみたい。

 

まず初めに、「副業」にもいろいろあるので、イメージをそろえておく必要があるだろう。
定時後や休日にアルバイトをするのも副業だし、セミナー講師をする、ネットショップを持つ、フリーランスとしてイラストを納品するなんてのもある。

サービスを提供しようが、雇用されようが、モノを販売しようが、「お客様」を相手にすることに変わりはない。

株の売買やマネーゲームは「お客様」と直接やり取りしない点で性質が異なるので、ここでは副業とは呼ばないことにする。

 

さて、まずアルバイト以外の副業について考えてみたい。

 

WEBで物を売るにしても、ランサーズやクラウドワークスなどに登録し、フリーランスで働くにしても、正社員で働いている人は、原則として就業時間外にお客様に対応することになる。
しかし、これはお客様に相当の不便を強いる。お客様目線ではなく、どうしても自分本位の仕事の仕方になってしまう。

自分本位のビジネスは長続きしない。

 

私もランサーズなどを利用して何度かフリーランスに仕事を依頼したことがある。

しかし、込み入った話も電話できず、すべてメールで連絡を取るように指定されるし、相手の返事は深夜か翌日だ。
指示の受け取り間違いを指摘しても、翌日にしか返事が来ないなんてことはざらで、キャッチボールは一日単位、WEB上なのにまるで昭和の文通のようなスローテンポ、すごくフラストレーションが溜まる。

 

また、仕事が手に負えないとわかると音信不通になることもある。あくまで「副業」という精神的な逃げ道が自分にあるからだろう。何せ受注を匿名でやれるのだから、名前も居所も晒して起業するより、無責任になりがちだ。

一方で、明らかに副業だとわかる人が、本業の仕事中に対応しているケースも珍しくない。

本業で半年間頑張っても、半期の賞与で10万円も差が付かないけど、副業なら一日で10万円ぐらい稼げてしまうという専門職は少なくない。だから、一度やりだすと副業に夢中になる人は多い。本業の仕事中に副業の対応をしてしまうのは避けられないのだ。

 

正社員としての身分の安定は手放したくない、収入も増やしたい、副業は面白く、匿名でやれば責任は持たなくてよい、たまに本業中にこっそり副業する・・・そんな良いとこ取りと自分本位がまかり通るはずがない。

 

では、どうすればよいのか?

それは次回に・・・。

 

 

中小企業診断士か国内MBAか(3)コンサルの実務で役立つのは?

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前々回、前回と中小企業診断士と国内MBAの比較をお届してきた。今回は、どちらがコンサル実務で役立つかを考えてみたい。

 

私の場合、国内MBA取得中(通学中)に、大手のコンサルティング・ファームに入社した。

そこでは、力量に応じてどんなテーマで仕事を受注してもよいのだが、当然、初めは専門分野(人事分野)で勝負することになる。

 

しかし、人事分野でコンサルティングを行うにも、経営に関する網羅的知識が必要で、MBAで学んだものだけでは到底足りない。一から勉強しなおさないと、クライアントの前ではボロが出ないか心配だった。

 

効率的、かつ体系的に知識をインプットできるのが中小企業診断士の資格取得だったので、MBAを取った翌年、さらなる自己研鑽の意味で診断士の資格を取得した。

 

コンサルティングは抽象概念を扱うため、中小企業診断士の取得だけでは不十分だ。しかし、MBAでインプットする知識だけではコンサルティングの実務には耐えない。

 

なかなか、両方の長所を兼ね備えたカリキュラムは見つけられない。

そこで、私のおススメは両方を取得することだ。

 

コンサルタントは企業ドクターに例えられる。多くの人の命運を左右するかもしれない企業ドクターなら、二つとも嗜み(たしなみ)で取得するくらいでちょうどいいのではないだろうか。

 

実際、コンサルティング・ファームで両方取得している人が多い。彼らは、常軌を逸するようなハードな仕事をしながら、片手間で勉強しているのだ。

 

忙しさや費用を言い訳にする人が多いが、知識商売の先端でプロフェッショナルとして活躍するなら、これぐらいのことで尻込みしない方が良い。

 

国内MBAは退職して通わなければならないフルタイム型よりも、働きながら通えるパートタイム型が人気だ。実際に通ってみると、夜間の授業を終えてから仕事に戻る猛者も少なくない。

 

社会人になってから他業界のビジネスマンと意見交換できるのは貴重な機会だし、大いに刺激を受ける。

 

何よりも忙しい合間に時間を作って勉強に励むので、自分自身のキャパシティーが上がるのを実感する。大学院を修了してからしばらくは、時間が余って仕方がなかった。通学する前と同じ状況に戻っただけなのに、前はなぜあんなに忙しかったのか疑問に思うほどだ。

 

その余裕を生かして中小企業診断士の勉強を始めたが、意外にも面白かった。

特に二次試験が面白い。というかよく出来ている。

 

コンサルティングとは程遠い、国語の試験のような内容なのだが、すぐ合格する人と、何度受けても通らない人に分かれる。基本的な読解力、論理構成能力、基礎学力がないと手こずるようだ。

 

コンサルティングとは程遠い」なんていうと、試験オタクから異論続出かもしれない。でも、実際はこんな少ない情報で課題解決策は立てない。せいぜい仮説の前段階(アタリをつける程度)までの作業だ。

 

与件のなかで、時間内にベストな判断をしていくのは、ゲーム感覚で面白い。

私は2カ月しか勉強しなかったので、本来もっと奥深いものかもしれない。

 

この資格試験のお勉強は、実はコンサルよりも経営者にこそおススメだ。

 

 

2019/7/12 3冊目の拙著が発売されます!よろしくお願いいたします!!

職場の紛争学 実践コンフリクトマネジメント (朝日新書)

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